高齢になると、転倒することが多くなります。それは、筋力の低下や歩行障害、視力や張力の低下によるものなどが原因です。ほかには病気や薬の副作用によって引き起こされる場合もあり、こういったものを内的要因といいます。高齢者自身に何らかの要因があることで、足が上がらずに段差でつまずいてしまったり、視力の低下で遠近感がなく踏み外してしまう場合などです。それ以外は、生活している環境において転倒する原因となるような段差があるなど、環境や移住空間が要因となって、転倒を引き起こしてしまうことは外的要因といいます。
このような高齢者の転倒は、介護施設においても少なくありません。室内を移動中であっても、歩行困難な高齢者であれば、手すりがなくなった場所で転んでしまったり、気を付けていても、お風呂場では水で床が滑りやすいため、転んでしまうといったことは起こりえます。そういった転倒を防ぐために外的要因である段差などを無くしたり、歩きにくいスリッパではなく、シューズをはくなど、転倒のリスクを下げることが必要です。
たとえ外的要因を回避できるような環境にあっても、介護者が目を離したすきに、高齢者が転倒してしまうこともあります。迷惑をかけないように自分で歩かなくてはいけないなど、高齢者に心意的な焦りがあったり、体調が悪いことに気が付かずに動いている場合もあります。日ごろから、介護施設の利用者を注意深く観察することが転倒事故の予防になります。